ペットの死体は法律上はどのような扱いになるのか?

更新:2021年12月10日

街中を歩くと至るところで犬と散歩する人々と出会う。
死は必ず訪れます。そのときにどうするかは重要な課題となります。

そこで今回は、動物の死体の処理についてご紹介します。

目次

日本の犬の飼育頭数

ペット 死亡

一般社団法人ペットフード協会の調査では日本の犬の飼育頭数は987万8000頭、猫は984万7000頭で、合わせて1972万5000頭もいる(2016年調査)。少子高齢化や核家族化の進展もあり、ペットを家族の一員と思う人は確実に増えている。人間同様ペットも長寿になっており、同調査では犬の平均寿命は14.36歳、猫の平均寿命は15.04歳だという。

法律上はどのような扱いなのか?

廃棄物処理法第2条第1項は、「この法律において『廃棄物』とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、……廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの……をいう」と規定している。したがって、自治体が動物の死体の処理をする場合は「廃棄物」扱いが基本だ。

ごみ収集を行っている市区町村はどのような扱いなのか?

まず、私有地ではない一般道等に動物の死体がある場合は、清掃部局に連絡すれば引き取ってくれることがほとんどだ。ただし、国道なら国交省の地域事務所、都道・県道等なら都・県等の地域事務所となる。いわゆる野良犬・野良猫が私有地で死んでいる場合の対応はバラバラだ。一般道同様に回収に来るところ、料金を取って引き取るところ、土地の所有者自らが民間業者等に依頼しなければならないところなどさまざまだ。
回収あるいは引き取った後の処分もさまざまだ。ゴミと一緒に焼却するところ、ゴミ焼却施設に動物専用の焼却施設のあるところ、収集したあと、動物専門の焼却施設や寺院に持ち込むところなどだ。

ペットが死んでしまったあとの処理は?

ペット 死亡 お寺
  1. 飼い主が自ら処理(自己所有地への埋葬等)
    自分の家の庭に埋葬することも可能であろう(公園などに埋葬すると廃棄物処理法・軽犯罪法違反)。しかしこれが可能な飼い主は都市化が進んだ現状では少ないと思われる。
  2. 飼い主が地方公共団体(清掃局等)へ処理依頼(焼却)
    自治体への依頼については、公道上での処理と同じであるが、飼い主が検討し、それが無理な場合には有料で引き取りまたは回収するという自治体が多い。
  3. 飼い主が民間事業者又は寺院等へ処理依頼(火葬・埋葬等)
    最近増えているのは動物専門の火葬・埋葬業や寺院である。ペットを家族として弔いたいという飼い主の感情の高まりとともに各地でこうした民間施設が多くできている。

ごみと同じ扱いは避ける方向に

動物の死体は、法律上は廃棄物扱いなので、ゴミとして焼却しても問題はない。だが、動物愛護管理法が第2条において「動物が命あるものであることにかんがみ……適正に取り扱うようにしなければならない」としていること、また近年の人びとの動物、特に犬猫に対する感情への配慮から行政でもゴミと同じ扱いを避ける方向にあると言える。

ペットの死体は法律上はどのような扱いになるのか?まとめ

生活を共にしてきたペットを弔いたいという飼い主の気持ちに行政の対応では追い付かず、ペット専門の火葬・埋葬業や寺院を増やしているようである。