海洋ごみ問題とは?日本の取り組み、私たちができること?

更新:2022年6月10日

海洋ごみは今、世界で注目され問題視されており、海を汚染するだけでなく、そこに住む生き物にも影響を与えています。海洋の現状がこのまま続けば、持続的に海洋資源を得ることができなくなるとも言われているのです。

そこで今回は、海洋プラスチックごみの取り組み、私たちのできることをご紹介します。

目次

海洋ごみの現状

海洋ごみ_ペットボトル

私たちの海がごみで溢れようとしています。プラスチックごみだけをとっても、世界に合計1億5,000万トン以上の量が存在していると言われ、毎年約800万トンに及ぶ量が新たに流れ出ていると推定される。美しい海が消える。これは、遠い未来の話ではなく、私たちの子どもや孫の世代に起きうる問題なのです。
海洋ごみにもさまざまな種類があるが、もっとも問題とされているのがプラスチックごみである。海洋ごみの半分以上を占めるプラスチックごみは、その素材の性質上滞留期間が長く、中には400年以上海の中を漂うものもあるという。環境省の調べによると、毎年海に流出するプラスチックごみのうち2〜6万トンが日本から発生したものだと推計される。このままでは2050年の海は、魚よりもごみの量が多くなると言われるほど問題は深刻化しています。
海洋ごみの65パーセント以上をプラスチックごみが占める。

海洋ごみの影響

海洋ごみ_生きもの

海の生物たちへの影響も甚大だ。これまでに魚類をはじめ、ウミガメや海鳥、クジラなどの海洋哺乳動物など少なくとも700種ほどに被害をもたらしている。この内92パーセントがプラスチックごみによる影響で、例えば、ポリ袋を餌と間違えて食べてしまったり、漁網に絡まったりして傷つき、死んでしまうことも日常である。海洋ごみがこのまま増え続けると、漁業や観光業への影響だけでなく、船舶運航の障害、沿岸中域の環境も悪化。これは、はっきりと分かっている問題だけで、地球の表面積の7割を占める海の汚染が及ぼす影響は未知数の部分も多い。

海洋ごみはどこから来るのか

その大半は私たちが暮らす街からである。街で捨てられたごみが水路や川に流れ出し、やがて海へとたどり着く。ごみの発生原因は「投棄・ぽい捨て系」「漏洩(ろうえい)系」の2つに大別されることが分かった。
「投棄・ぽい捨て系」では、これまでモラルの問題と一括りにされることが多かったが、社会的な問題や産業構造などが要因でごみを投棄・ぽい捨てせざるを得ない状況も発生していることが明らかとなった。
一方「漏洩系」では、ごみを集積している地点からの漏洩や、災害時の応急処置で使用され経年劣化した製品や農業資材の流出が確認されました。

日本政府の取り組み

日本政府では、海洋プラスチックごみに対して様々な取り組みをすべく議論を重ね、「第4次循環型社会形成推進基本計画」と「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」の2つを主軸とした対策に取り組んでいます。これは政府だけでなく関係機関、地方自治体、漁業関係者などと連携した海洋環境改善のための計画です。

第4次循環型社会形成推進基本計画

第四次まで進められているこの計画は、循環型社会形成推進基本法に基づいて、循環型社会を作り上げていくための施策を総合的に、そして計画的に推進するための基本計画になります。第四次計画ではその方向性として3つの項目が新たに挙げられました。
・地域循環共生圏形成による地域活性化
・ライフサイクル全体での徹底的な資源循環
・適正処理の更なる推進と環境再生

海洋プラスチックごみ対策アクションプラン

海洋プラスチックごみ対策アクションプランというものも政府で策定されています。これはプラスチックの有効利用を前提としつつ、海洋の新たな汚染を生み出さないため取り組みを徹底していくためのプランです。
具体的には、プラスチックごみの回収から適正処理を徹底するとともに、ポイ捨てや不法投棄、非意図的な海洋流出の防止を進めます。また、すでに流出したプラスチックごみの回収にも取り組む方針です。

私たちができること

日本政府を中心として上記のような取り組みが行われていますが、プラスチックごみを削減するには私たち消費者が積極的に取り組むことも必要です。

3Rを心がける

海洋ごみ_リサイクル

3Rとは「リデュース(Reduce)」「リユース(Reuse)」「リサイクル(Recycle)」のことを言います。
3Rはどれもプラスチックごみを出さないための工夫であり、場合によっては資源にもできる方法を説いています。これを意識することで海洋プラスチックごみ削減にもつながるのです。

プラスチックごみを減らすための行動をする

上記の3Rも含めたプラスチック削減のための行動は何よりも大切です。もっと具体的な対策の一例を以下に挙げます。
・レジ袋をもらわなくていいようにマイバックを持参する
・小分けにするポリ袋の使用を控える
・タンブラーなどマイボトルを持参し、プラスチック容器の使用を減らす
・プラスチック製のスプーンやフォークをもらわず、マイ箸やマイスプーンなどを常備する
・プラスチック製ストローの使用を控える

ごみ拾いやボランティアに参加する

ごみ拾いやボランティアに参加することも、プラスチックごみの削減に大きく貢献できます。
海に流れ着くプラスチックごみの量は非常に多く、定期的な清掃を行っていますが、海岸は広いため多くの人が清掃活動に積極的に参加することが求められます。

環境問題に取り組んでいるNPO団体などに寄付する

環境保護に取り組んでいるNPO団体などへの寄付もあります。NPO団体などに寄付するメリットは、個人では実施できないようなスケールの大きな活動を支援できること。たとえばNPO団体などに寄付すると、以下のような活動を支援できます。
・政府や国際社会に向けて、環境を守るために働きかける
・環境問題の現状を伝えるため、報道関係者に写真や動画などの資料を提供する
・海洋プラスチックをはじめ、さまざまな海の問題を解決するために活動する

海洋プラスチックごみ問題など、環境保護に取り組んでいる団体

グリーンピース・ジャパン

・政府や企業からの財政支援は受けないことを掲げ、個人の寄付のみに支えられている独立性が特徴
・報道関係者向けに最新のプレスリリースや写真・映像、国際性・専門性を活かした資料・データの提供が強み

WWFジャパン

・「協力して、世論を喚起し、自然保護の必要性を世界の人々に知ってもらおう」という目標を掲げ、2021年に50周年を迎える
・世界中に支部がある大規模な支援団体

日本自然保護協会

・絶滅危惧種を守る活動から、地域プロジェクト、担い手育成、そしてコロナ禍の中でのおうちでできる自然観察の提案など、活動の幅広さと私たちの生活とのつながり
・身近な自然観察や子ども対象のイベント、寄付付き商品を買って応援ができるなど、私たちができることもいろいろあることがわかる

JEAN

・1990年に日本初の「国際海岸クリーンアップ」に参加した有志により、さまざまな環境問題に対して自ら行動する人を増やしていくことで環境保全に貢献しようという緩やかなネットワーク組織としてスタートした歴史が特徴的。

OWS

・「学びと社会貢献の場」を活動を通して創出するところに特徴があり、季刊誌の発行から各種調査と保全活動、子どもへの啓発や学習活動やを定期的に行っている。ロゴマークにも使われている「Research and Education」がそれを象徴している。

海洋ごみ問題とは?日本の取り組み、私たちができること?まとめ

増え続ける海洋ごみに対し、国や企業による取り組みも重要だが、私たち一人一人が普段からごみを減らす努力をすることが、何よりも効果的です。