どんな製品に生まれ変わるの?リサイクルについてリサイクルの具体例は?

更新:2022年7月22日

リサイクルとは言うまでもなく、使い終わって排出された廃棄物をもう一度資源に戻して利用することを指しますことです。リデュース(廃棄物の減量、排出抑制)、リユース(再使用)とともに、廃棄物処理の「3R」として位置づけられています。

そこで今回は「3R」の中からリサイクルをご紹介します。

目次

リサイクルには3つの種類がある

リサイクルは、手法ごとにサーマルリサイクル、ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルの3つに分類されます。

●サーマルリサイクル

リサイクル_工場

サーマルリサイクルとは、廃棄物を焼却する際に発生する「熱エネルギー」を回収して、利用するリサイクル方法です。
ごみの中には、技術的にリサイクルが困難なものや、分類や仕分けに多大な労力を要するものもあります。分別は自治体により異なりますが、たとえば宅配ピザの空き箱は、ピザの油や臭い、汚れが付いていることから、古紙としてリサイクルするのは困難です。こういったごみは、原料として利用するのではなく、燃やして熱エネルギーとして回収することで「リサイクルをした」とみなしているのです。サーマルリサイクルの例としては、ごみの焼却熱を温水プールや発電に利用することが挙げられます。

●ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルとは、廃棄物を化学合成により他の物質に変え、その物質を原料にして新たな製品を作るリサイクル方法です。
具体的な例として、廃プラスチックを溶かして水素や二酸化炭素などの合成ガスを生み出し、水素をアンモニアの製造に再利用したり、二酸化炭素から炭酸ガスやドライアイスを作り出したりすることが挙げられます。

●マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは、廃棄物を新たな製品の原料として再利用するリサイクル方法です。
マテリアルは英語で「物」という意味で、文字通り、物から物へとリサイクルすることを指します。マテリアルリサイクルは、同じ物にリサイクルされることもあれば、異なる製品にリサイクルされることもあります。

マテリアルリサイクルの種類は2つ

マテリアルリサイクルは、どのような製品の原料に使われるかにより、「レベルマテリアルリサイクル」と「ダウンマテリアルリサイクル」の2つの種類に分けられます。

●レベルマテリアルリサイクル

レベルマテリアルリサイクルは、廃棄物を同じ製品の原料としてリサイクルすることを指します。
例として、ペットボトルを原料にしてペットボトルをリサイクルする、古紙を原料にして再生紙をリサイクルすることなどが挙げられます。

●ダウンマテリアルリサイクル

ダウンマテリアルリサイクルは、廃棄物が同じ製品の原料として品質が満たない場合、一段階下げた分野の製品原料としてリサイクルすることです。英語で「階段状に連なった滝」を意味する名詞「cascade」を使って、カスケードリサイクルとも言われます。
例えば、ペットボトルを原料にして衣類などにリサイクルすることなどが挙げられます。

マテリアルリサイクルの具体例

リサイクル_ペットボトル

私たちの身の回りには、どのようなマテリアルリサイクルの例があるのでしょうか。

●ペットボトル

まだ使えるガスコンロで、友人、知人、家族の中に欲しいという人がいるのなら譲渡するのもよい方法でしょう。

●プラスチック

まだ使えるガスコンロで、友人、知人、家族の中に欲しいという人がいるのなら譲渡するのもよい方法でしょう。

●ペットボトル

ペットボトルは、さまざまな製品に再利用されます。レベルマテリアルリサイクルでペットボトルに再生されるほか、ダウンマテリアルリサイクルで衣類、卵のパック、食品用トレイ、ラミネート包材などに生まれ変わります。
ごみとして回収されたペットボトルは、洗浄した後に粉砕し、フレーク状にします。そしてそのフレークにしたものを原料にして、製品を作ります。

●ビニール

ペットボトル以外のプラスチックもマテリアルリサイクルされる場合があります。回収されたプラスチックは、ペットボトルと同様、異物を取り除いた後に小さく砕いて洗浄、脱水、乾燥し、再生原料を作ります。この再生原料から、工場で使われるパレットなど多様な製品が作られます。

●金属製品

農業用ビニールハウスやパイプなどに使われるポリ塩化ビニールは、プラスチックに比べて異物混入の影響をあまり受けないことから、さまざまなマテリアルリサイクルが実施されています。
パイプやタイルカーペットは、レベルマテリアルリサイクルにより同じものに再生されます。ビニールハウスは、ダウンマテリアルリサイクルで床材などに生まれ変わります。

●木くず、がれき

リサイクル_木くず

建築現場で発生する木くずや廃材などもリサイクルされます。細かく砕いて再び成型することで、壁・床・屋根の下地材や家具素材に用いられるパーティクルボードなどになります。また、アスファルトやセメント、コンクリートのがれきは、再びアスファルトやコンクリートにリサイクルされます。

マテリアルリサイクルの課題

さまざまな製品で採用されているマテリアルリサイクルですが、ヨーロッパに比べるとまだ日本ではまだ十分普及しているとはいえません。
2018年の日本のマテリアルリサイクル率は19.9%です。これに対しヨーロッパでは、ドイツ67.3%、オーストリア57.7%、オランダ55.9%となっています。各国で「リサイクル」の考え方が異なるため一概には比べられませんが、本当は焼却処理すべきではない物も一定量焼却されてしまっていることでしょう。マテリアルリサイクルを含めた最適なリサイクル方法を実現していくためにも、より一層、ごみの適切な分別を意識する必要があるでしょう。

どんな製品に生まれ変わるの?リサイクルについてリサイクルの具体例は?まとめ

「ごみの分別は面倒」「ごみは焼却すればいいじゃない」と思っている方もいるかもしれません。マテリアルリサイクルは、地球環境に優しい上、紙の原料となる木や、金属の原料となる鉱物資源の保全にもつながります。地球環境の保全を意識し、廃棄物の処理を心掛けましょう。