ごみ問題の現状は?原因とその対策とは?

更新:2022年4月22日

日常生活を送っていると、どうしても出てしまうごみ。「塵も積もれば山となる」という言葉があるように、私たちが出しているごみを集めると膨大な量になり、社会問題にもなっています。
ごみ問題の解決は持続可能な社会をつくるために不可欠であり、国や地域だけではなく私たち1人1人が取り組みを行うことも大切です。ごみ問題について知り、自分ができることを始めてみましょう。

そこで今回は、ごみ問題の現状、原因とその対策をご紹介します。

目次

ごみ問題の現状

日本では

ごみ問題の現状_東京ドーム

2020年3月に発表された、2018年度のごみ総排出量は年間4,272トンにものぼります。東京ドームに例えると約115杯分もの量を廃棄していることになります。あくまでもこの数字は一般廃棄物の量ですので、産業廃棄物も含めるともっと多くの量のごみを廃棄していることになります。
また、食品ロスは年間約612トンにものぼり、国民1人当たりに換算するとお茶碗約1杯分の食べ物を毎日捨てている計算になります。
ごみは、リサイクルされるごみとリサイクルできないごみに分けられます。リサイクルできるごみは、工場に運ばれて新たなものへと生まれ変わります。リサイクルできないごみは、埋め立てをするために最終処分場に運ばれます。ここに運ばれてくるごみは約400万トンになります。
最終処分場にごみを運び込む前に、焼却工場でごみを燃やし体積を大きく減らしています。これは、日本は国土が狭く、最終処分場を多く確保することができないからです。今ある最終処分場は、約20年で満杯になると言われています。
そのため、燃やすことでごみの体積を減らし、少しでも最終処分場が長く使えるようにしています。400万トンという数字はごみを燃やした後の数字なので、実際はもっと多くのごみがリサイクルをされずに処理されているのです。
日本では焼却処分が主流なので、ごみを燃やす際に発生する二酸化炭素の排出も大きな問題になっています。

世界では

ごみ問題の現状_ラオス

イギリスの会社が2019年に調査した結果、世界では毎年21億トンを超えるごみが排出されていて、その中でもリサイクルされているのはわずか16%しかないことが分かったそうです。また、食品ロスの量は13憶トンにものぼります。
ごみ問題はどの国でも頭を悩ます問題です。特に、開発途上国や新興国では、ごみ問題によって他の問題が発生しています。開発途上国では、管理がずさんなためにごみが大量に捨てられているところが多いです。ごみの収集が行われず、各自で道ばたなどに捨てられたままになっている地域も多くあります。
このことから、ごみによる異臭や衛生面で大きな問題になっています。新興国では、急激な発展により大量のごみが発生する一方で、ごみの処理が追いついていないために、ごみの山ができている地域があります。このような国のごみには、プラスチックなど自然に分解されないごみも多く含まれます。放置していると有害物質が発生したり、火事になったりすることもあります。また、有害物質が川や地下水などに混じると公害問題に繋がる場合もあります。
発展途上国や新興国のごみ問題の解決に日本をはじめとする先進国も動いていますが、自国の対策だけでは通用していないのが現状です。ごみ問題を解決するためには、調査を行い、その国の事情に合わせた対策をとることが必要とされています。

ごみ問題の原因

どうして世界ではごみ問題に悩まされているのでしょうか?それは、様々な技術が発展し便利な時代になったからです。
技術の発展により、過剰包装、使い捨て商品の増加、モノを安価に入手できるようになるなどの便利さが私たちにもたらされました。便利さによって私たちは、モノを大切にしなくなったり、たくさんモノを買うようになったり、すぐにモノを買い替えたりするようになりました。モノが溢れるようになり、それに伴って必然的にごみも発生するようになりました。

ごみ問題による影響

ごみ問題によってさまざまな悪影響が及ぼされます。

埋立地の不足

家庭から排出される粗大ごみや不燃ごみは粉々にしたあと、鉄やアルミなどが回収されます。回収したあと、残ったものを「不燃破砕残渣(ふねんはさいざんさ)」と呼びます。また、ごみが燃えた後に燃え残った灰(焼却灰)と発生した排ガスが冷えたときに発生する灰(飛灰)を「焼却残渣」と呼んでいます。これらの残渣たちは最終処分場へ埋め立てられていますが、その最終処分場にも限りがあります。
2020年3月に発表された最終処分場の残余年数は21.6年といわれています。このままのペースでごみを破棄し続けていると、約22年後にはごみを埋め立てる場所がなくなってしまうということです。

地球環境の悪化

焼却炉でごみを燃やした際に温室効果ガスである二酸化炭素が発生することによって、地球温暖化が進んでしまいます。
地球温暖化が進むと、人間だけではなく動植物にも大きな悪影響を及ぼします。また、ポイ捨てやごみの不法投棄によって、山や海などの環境も破壊されてしまいます。実際に日本の川に不法投棄されたものが、外国の海岸へ流れ着くといった事例も報告されています。

日本のごみ問題の対策

ごみ問題の現状_法律書

日本ではゴミ問題の顕在化に伴い、さまざまな法律が制定されています。

循環型社会形成推進基本法

循環型社会とは、「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減された社会」のことです。国や地方公共団体、事業者がごみ問題や環境負荷の低減への取り組みを進めるにあたっての基本原則などが規定されています。

廃棄物処理法

ごみの排出を抑制し、適切な処理方法を定め、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。私たちはたくさんのごみを出していますが、この法律のおかげでごみ問題が原因となって発生する新たな問題の抑制に繋がっています。

資源有効活用促進法

循環型社会を形成していくために必要な3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを推進することを目的としています。
事業者に対しては、3Rの取り組みが必要となる業種・品目を指定して、製造段階における3R対策、設計段階における3Rの配慮、分別回収のための識別表示、リサイクルシステムの構築などを規定しています。この法律のおかけで、たくさんのものがリサイクルされるようになったり、再利用できるようになりました。
他にも、製品の特性に合わせて家電リサイクル法、容器包装リサイクル法などの法律があり3Rが推進されています。
日本は深刻なごみ問題に悩まされてきました。そのため、紹介した法律などによる循環型社会の形成や3Rの推進などにより、2000年と比べ、資源生産性は約6割向上し、最終処分廃棄量は約7割の削減を達成しています。

ごみ問題に対して私たちができること

3つご紹介します。

3Rを意識する

3RはReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つのRの総称です。循環型社会を実現するための重要なキーワードになっています。
・Reduce:使用する資源の量を減らしたり、ごみの発生自体を減少させること
例:プラスチック製品の使用を減らすこと、割り箸をもらわないこと、マイバッグを持ち歩くこと、など
・Reuse:一度使用した製品やその部品を何度も繰り返して使用すること
例:マイボトルを持ち歩くこと、詰め替えで繰り返し使える製品を選ぶこと、服を清潔に保ち長く着続けること、など
・Recycle:ごみを原材料やエネルギー資源として再生利用すること
例:ごみを決まりに沿って分別して出すこと、再生紙・再生プラスチック商品を使用すること、など

必要なものだけ買う

無駄な買い物をしないことでごみを減らすことができます。
買い物する際は、本当に必要なものかどうか考えて購入してみてください。不要なものを買うと、使えるのに捨てるものが増えてしまいます。また同様に、買いすぎにも気をつけましょう。

食品ロスを減らす

食品ロスとは、本来食べられるものなのに捨てられてしまう食品のことです。食べ残しや、売れ残りの廃棄などが食品ロスとして当てはまります。
食品ロス問題もごみ問題を考える上では切っても切ることができない問題です。日本の年間の食品ロスの量は612万t(農林水産省・平成29年度)になっています。1日に換算すると、1人当たりお茶碗一杯分のご飯と同量の食べ物を捨てています。私たちにできることは、食べられる量だけ注文すること、まとめ買いをしないこと、残っている食材から調理することなどがあげられます。

ごみ問題の現状は?原因とその対策とは?まとめ

ごみ問題の解決のために様々な法律が制定されていますが、ごみ自体をもっと減らしていかなければごみ問題を解決することはできません。私たち1人1人の意識で少しずつごみを減らしていくことができます。自分ができることをやってみましょう。